まんてん!仕込み日記

幼児を対象にした人形劇『まんてんげきじょう』の仕込み日記です。
2021年7月初演。


この作品の公演情報

それいけ『まんてんげきじょう』!

中川
C3FB23DF-1ED3-43A2-B69F-88D5A78316B4.jpeg
『まんてんげきじょう』いよいよ最終稽古も終わり、明日の初日を待つばかりとなりました!

人形達も仕上げのタッチを入れられて、一層可愛くなりましたよ。


5F1DCF4E-E078-428E-B958-46AE09FF127F.jpeg

57BA189F-A830-4827-B53B-EBDD5DA855CE.jpeg


梱包袋や箱も用意されて、仕込みも無事に終わりました!

と、思ったら、美術家の団長さんがまだ隅っこで作業しています。


9F15932C-F0CC-4420-866A-B730C3CFC036.jpeg
近づいてみると…


E04C5851-6261-42A8-AB45-024A5520FA0F.jpeg
看板を作っていました!

『まんてんげきじょう』は「満天」から来ている名前なので、満天の星がデザインされています。可愛い。

「まんてん」天球いっぱいの星空というイメージが有って、キラキラとした良い言葉ですね。
作品も、お祭りに参加した様な心地になれる、めでたくて楽しい人形劇になりました。


さあ、ハイエースにも無事に積み込めました!

明日から全国を回ります。沢山の人に観てもらえると嬉しいなぁ。

1903BB97-2802-419E-A469-1CA2D96C5B36.jpeg

 

舞台装置!

中川
E4106105-6ECE-4881-8DCA-470BB148B5FD.jpeg
今回は劇団の「硬いものチーム」の技術が詰まった、舞台装置をご紹介します!

場面転換も吹き替え人形も多い今回の『ぶんぶくちゃがま』、
舞台装置には収納力と素早い舞台転換への工夫が色々仕込まれました。

3A81AE5B-8E22-4021-A77F-A7AC053413BC.jpeg
今回、色んなシーンに応じて作られた吹き替え人形、
この写真には全部写っていませんが、タヌキのハチだけで9体!

小道具も様々出てきます。

12F9ACCB-6F44-46C5-B906-EF14AB90EC18.jpeg
これは下手袖パネルの裏側。タヌキがスタンバイしています。


320A6D03-D35F-483A-9CAA-FA6BE0623710.jpeg
こちらはケコミ裏です。棚も付いて充実の収納力!


73E646FD-3246-455A-AC95-295F1BF92BB0.jpeg
こっちは「曲芸屋さん」シーンの上手袖裏です。ロールされていた紅白幕が引っ張り出され、綱渡りのロープが張ってあります。
上手からは三吉の家のセットや、峠のお茶屋セットも出るので、紅白幕ロールなどとの兼ね合いにかなり頭を使ったとの事。無事に全てが収まりました。


AC61468B-6898-45DF-8CB1-2ACB011345A4.jpeg
これは三吉の家のセットです。屏風の様に折り畳まれて収納されます。
神棚は半立体ですね。美味しいものがお供えされているという噂です。


CBB49AF8-C027-4692-B9D1-37E5D881AD14.jpeg
袖パネルの模様は、ステンシルで着けられました。
写真はステンシルの試しと道具。
担当者は一発勝負で緊張したとの事。お疲れ様です。


A80558FD-5BAE-4010-B888-7EC090E4F96F.jpeg
良い感じにステンシル出来ました!


C0CF22EB-9D3C-4661-A790-31F414DED3F0.jpeg
全景はこんな仕上がりです。ここに沢山の人形と小道具が収まっているんですね。


次々シーンが変わる様子を、どうぞ本番で確かめてみて下さい。
 

曲芸屋さん

中川
A76101F2-9CFC-4932-855D-A3D2D90A05C8.jpeg
『ぶんぶくちゃがま』と言えば、茶釜タヌキの曲芸シーンが有名ではないでしょうか。京芸の『ぶんぶくちゃがま』でも、色々な曲芸が繰り広げられます。


D712B61C-A220-4BBC-8AD6-A2A7E5CAC505.jpeg
これは傘回しの傘。


10416D33-F13C-485C-BC52-D62394BBE4D8.jpeg
三色リボンを巻き付けた棒は…

FD64DA11-3C20-4BD3-BC6F-D3C5999AF53B.jpeg
はしご芸の梯子になります。

478EAE81-0FFE-4FD4-9C19-F6F3BFD6012A.jpeg
ハチと三吉もおめかしします。こちらは玉乗りハチのプラン画。

9862CE58-F483-4675-BCE2-81A8534D252E.jpeg
めでたい衣装は劇団ストックの古着物で作ってあります。可愛いですね!


FD1B74E6-2BC9-4595-A9C8-968C10982FDC.jpeg
こちらは曲芸用三吉の骨組み。今回も大活躍の柔らか素材「サンペルカ」で出来ています。お豆腐みたいで可愛いですね。


5A14BF27-F7FB-4FE8-A0D5-DB60718E67DB.jpeg
髪の毛部分にはバネが仕込まれました。良い感じに揺れます。

5B29EEE2-CBC0-4CD5-918D-25AAE905734C.jpeg
頭を被せて、三吉になりました!


B3FD334E-7C1E-476A-86A9-996510B15497.jpeg
舞台装置も一気に華やかなシーンに変わりますよ。


073ECDDB-751F-4C97-935D-967CE5387886.jpeg
お客もどんどん集まって来て…


C98F504D-2D93-4405-B98A-3EBBB2B50764.jpeg
こっそりあの犬も観に来てますね。


めでたくて楽しい曲芸屋さんのシーン、本番をどうぞお楽しみに!

 

遠見人形

中川
261E054A-1054-4C97-9B9D-4EBD68B26DEC.jpeg
人形劇が得意な表現の一つに「遠見」が有ります。
これは、小さい人形を用いる事によって、より舞台上で広い世界を表現できる手法です。
小さい人形ならではの誇張した動きや、逆にちょこまかした可愛い芝居をぜひ本番で体感して下さい。

『ぶんぶくちゃがま』にも遠見人形を使ったシーンが有ります。

62D834CA-3AA1-4451-8BD7-ABC75BF13C43.jpeg
行商中のワンシーン。

一生懸命走って逃げる2人、何から逃げているかというと…




8A05A64C-5C4A-4C34-B93F-1367A62933E1.jpeg
こんな後ろ姿の…


A540C355-B1C4-476F-B25B-AA2C2F19D1DD.jpeg
野良犬でした!
何かやらかしそうな、良い顔をしています。

実は昔話において、犬はタヌキの天敵なのですが、
「ぶんぶくちゃがま」ではどうなってしまうのか…乞うご期待です。


B9A46DA2-6073-4EAC-9F8D-EF2B97082741.jpeg
こちらは、もう少し大きい遠見ハチの尻尾。
遠見人形は、用途によって数種類作られる事が有ります。
こっちのハチは尻尾にバネが仕込んであり…


89F6464D-1247-4665-BD74-C3E33BDE2FBC.jpeg
ビョンビョンゆれます。

小さい中にもこだわりの動きが仕込まれた遠見人形、ぜひ本番でチェックしてみて下さい。


 

ごちそう色々

中川
754B05FB-284F-4C4F-BEDC-D9A566897630.jpeg
 
食べ物が美味しそうな人形劇は良いものですね。
今回は『ぶんぶくちゃがま』のご馳走をご紹介します!


まずは古道具屋さん三吉の夕ご飯。
23D7E7CE-FD0C-4059-A314-9E20FE26A888.jpeg
風で飛ぶほど薄く切られたタクアンと、煮干しと見まごう大きさのメザシ。


小さい小道具ですが、質感やぺらぺら具合に作り手のこだわりを感じます。
タヌキ的にはもっと量が欲しい内容ですが、三吉宅のご馳走でした。

実はこの、ご馳走が乗っているお皿ですが…


DE607322-5FB6-4A06-B00E-D247CBD60B0A.jpeg
後で皿回しに使われたりするので、要チェックです。
裏の柄も可愛いですね。



続いて三吉とハチの大好物、お団子。
3784A369-E478-4739-B207-E96D69C5EA70.jpeg
竹皮に包まれて、風情があります。


4085D925-2B4A-493B-9360-CBBD752CA8C5.jpeg
中身は炙り団子!
焼き色が美味しそうです。


売っているのは、峠のお茶屋さんです。暖簾がこちら。
D2C012DE-8C6C-4F94-A6E6-6B953DC17A5A.jpeg
どこかで見た事のある人も多いのでは。

そう、美味しいお茶を販売している、日本一歴史のあるお茶屋「通圓(つうえん)」さんです!
今回、地元コラボという事で名前をお借りしています。
通圓さんのお店では、お茶の他にも茶蕎麦や和菓子、パフェなど食べられるので、宇治にお越しの際はぜひチェックしてみて下さいね。







 

お侍さん

中川
DF06530C-F8B5-4D05-98BF-1D6E5AD3E648.jpeg
『ぶんぶくちゃがま』には、旅のお侍さんも出て来ます。

お侍さんの髪も、三吉と同じくエコアンダリヤが使われました。
何しろヘアセットが大変なエコアンダリヤ。


293DCE8B-3791-4C42-B759-54F582C99163.jpeg
まずは大爆発。


1B5EAE01-9E6B-4ABE-A489-25B2DD869D14.jpeg
木工ボンドによるヘアセットを経て…


8B297DF9-680B-466D-923F-02982A1DC54E.jpeg
立派な髷になりました!

担当者、木工ボンドよりGクリアの方がエコアンダリヤには向いていると途中から気付いたそうです。テカリも出るので部位によって使い分けるのが良いかもとの事。
エコアンダリヤで髪結いする際には憶えておくと良いですね。


44772244-B223-4F6A-B9A5-DCADABE9103A.jpeg
お侍さんなので二本差しも作りました。
サテン張りの鞘が良い感じの光沢。



77359A22-DB54-4431-94E6-7210AA19AA08.jpeg
使い手の要望で、草履の底にはゴムの滑り止め付き。
パンチの上でも滑りません。実用的!


このお侍さんは骨董好きだそうです。
三吉やハチとどんなやり取りをするのか、本番をどうぞお楽しみに!





 

籠タヌキ

中川
17FF6D70-DFEF-4EEE-BA2B-02B7E6620AD9.jpeg
古道具屋の三吉は、色んな物を籠に入れて「行商」に出かけます。
籠は、手芸屋さんでよく見るエコクラフトテープを編んで作られました。

F524F664-33A8-4C86-9B25-17EB771F9647.jpeg
軽くて丈夫な籠が出来ました!
担当の人は普段から何でも作りますが、籠まで編めるとは知りませんでした。本人もほぼ初挑戦との事で、器用です。


幟や背負い紐を付けて…

4429E869-1749-4CC7-9E24-1CD82A9687AB.jpeg
完成です! 

この籠に、色んな商売道具とタヌキが入ります。


164010AA-14AF-446C-8191-05F39F0798CF.jpeg
三吉オススメの古壺とキセル。売れるでしょうか…

タヌキを入れるとこんな感じに。


4108395C-8F1E-4481-BF3B-6CDC42B16D0E.jpeg
はい可愛い。
通称「籠タヌキ」籠に入ってもよく動きます。

でも、人に見つかると大変なので、頑張って居ないふりをします。


DC5AD73E-2612-4439-86B7-E6782B6F31D3.jpeg
全力の居ないふり。


EBD0B6C6-ADC2-4ADE-948C-02F68344B540.jpeg
はたして、見付からずに商売が出来るのか…


本番をどうぞお楽しみに!

 

タヌキのハチ

中川
6E22FDA9-D711-4AC4-8DD2-BF74F3629D63.jpeg
『ぶんぶく茶がま』もう1人の主人公は、タヌキの「ハチ」です。

お腹を空かせて三吉の古道具屋に忍び込み、帰って来た三吉を誤魔化そうと茶釜に化けるも、うっかり火傷を負って「茶釜タヌキ」という中途半端な格好になってしまう、可愛いやつです。

6F1A9B1B-478C-4C0B-BA1F-F84B4DE0EB7F.jpeg
これはハチが化けた茶釜。

DC882463-399B-42A9-ADBC-FF9A1E943514.jpeg
こっそり三吉を盗み見るハチ。

54B9451D-81D1-4714-93E4-01F25FD6C939.jpeg
目を開けたところ。可愛い。

茶釜の目の仕掛けは事務局長の小林さんが仕込みました。
「引き線」やら「コザル」やら、昔から伝わるカラクリが仕込んであります。

458F4C8F-8BFC-4D48-A99A-158983319617.jpeg
そしてこれが「茶釜タヌキ」。はい可愛い。

79C87F56-C8D6-4E84-8AEF-B4EAD359F2F0.jpeg
後ろ姿には茶釜の名残が…

1D1AEE57-D879-4791-AAC0-2120F2DC516C.jpeg
かわいそうな尻尾のやけど。

このやけどが治るまで、という約束でハチは三吉の家に居候。古道具屋の商売を手伝う、てんやわんやな日々が始まります。


 

人形仕込み、始まります

中川
851F50DF-5FC9-4132-9152-F839107BDA3B.jpeg
仮もののOKが出た順に、人形・舞台・小道具の本仕込みが始まります。
今回は人形仕込みの様子をお届けします!

3D4D5312-6059-4A94-8B64-A2D6D879C7E2.jpeg
主人公の1人、古道具屋の三吉ちゃんです。
仮もので体の構造が決まったので、それを元に仕立てて行きます。
正座が上手に出来る人形という事で、『はらぺこ団』という作品に出て来た貧乏神のびんちゃんを参考にしました。

FAFF62E3-08AD-4512-B564-FD4477C6D137.jpeg
モデルになるびんちゃん

長い作品になると10年以上使われる事も有る為、出来るだけ丈夫に、壊れにくく…と工夫を重ねます。
ただ、動き重視や軽さ重視の人形の場合は、壊れる事を前提にして、修理しやすい機構に作られる事も有ります。

63FEE920-F721-4E32-B26F-2B20E668FF3D.jpeg
布を張って着物を着せたら、髪の毛を縫い付けます。
髪の素材は、今回エコアンダリヤという紙の糸を使用。
2色に染め分けた物を束にして…
541CEE86-A0A4-4D06-A2EC-1DF2D527E1B0.jpeg
ミシンで縫って、生え際に縫い付けて…
F42B1A78-AC90-4AB4-8777-720F0E25B973.jpeg
ボンドでヘアセットしたら髪の毛の完成です。

あとは目入れやタッチ入れ等の仕上げ作業を待ちます。
今回は美術家の団長さんが役者でも出演する為、稽古の合間を縫って忙しく仕上げ作業をしています。頑張れ団長さん!
 

燃える囲炉裏

中川
66A6FA84-63A2-42E7-BA3A-0FB5292E50A3.jpeg
『ぶんぶく茶がま』には囲炉裏が出て来ます。
今回、囲炉裏作りを任された担当の拘りで、LEDを駆使した「燃える囲炉裏」が作られました。

32D60EAD-E8A0-4355-B8B3-F5688A89DF19.jpeg
素材になるのは、なんとクリアファイルです。

361C456A-2237-4A9E-BAAF-56304484541F.jpeg
成形して布を張って、絵の具で着色。

FD879A0B-502F-4D74-B0EE-B49BEF664B50.jpeg
仕込まれたLEDライト。
クリアファイル素材の木炭が良い感じに透けます。
時間差で点滅させるための電子回路も仕込んでいました。芸が細かい!
色の違いはゼラでしょうかね。

燃えてる様子はこちらで見られます↓
592CB775-EB40-445D-B8F7-CA93EEA4E912.MOV


どんなシーンで使われるのか、本番をお楽しみに!


 

仮もの仕込み色々

中川
919EC78B-E8AD-42D5-BDC8-9FEE417A38EA.jpeg
団長さんのプラン描きと並行して、工房では仮もの仕込みが進みます。

人形や舞台の大きさ・使い方を探って行く重要な期間です。

2A5F9F34-D6DE-4FB8-B1E9-E0A90BCBDA34.jpeg
設計図を描いて作業を進めます。

仮ものは、大まかなものはダンボールで作ったり、機能を試したいものは素材も本物と同じ物を使って製作します。
C8B531F0-D582-4F19-B70E-0AC1D2DCCD4B.jpeg
仮もの舞台装置

A56D9571-873C-43C7-816B-E155EA3A18CD.jpeg
小道具の水桶


「燃える囲炉裏」「広がる池」「カゴから出て来るタヌキ」「両手に扇子を持って踊れる人形・1人使い」「出し入れが簡単な家のセット」などなど、様々な課題が出てトライ&エラーが繰り返されます。

仮ものを使った稽古を経て、本物仕込みの為の方針が決まります。

F9DAB351-2B9D-4E15-BD2A-0555262DF2E8.jpeg
京芸は仮ものを試す期間が長めなので、新素材を使ってみたり、新技術を開発したり、人形の機構を考えたりなどが好きな人にも楽しい作業環境です。
入団1年目から「溢れ出るハチミツの仕掛け」の考案などが出来ますよ。
大人達が頭を絞って「伸びるゴボウ」の見せ方などを考えている光景は、面白いです。

2022年春に向けて劇団員募集中の為、ちょっと職場の宣伝でした。
人形劇団は劇団ごとに仕込みのやり方が違うので、そういう観点からでも気になったらぜひお気軽にご連絡下さい。


 

『まんてんげきじょう』はじまるよ!

中川
manten_omote.jpg
7月におひろめ公演が決まった『まんてんげきじょう』
新作『ぶんぶく茶がま』と、人気作品『ねずみのおんがくかい』の二本立てです。

何回かに渡って、仕込みの様子をお届けします!


8B1D4B14-583E-4D5D-881F-A959F79357B0.jpeg
まずはプラン画を見ながらのミーティング。

関係者が集まって、イメージを擦り合わせて行きます。
新作『ぶんぶく茶がま』の作品美術家は団長さんです。
この春は隙あらば絵を描く団長さんの姿がお山の随所で見られました。

76E2DA95-977B-4A8A-950C-119D681812BD.jpeg
主人公、道具屋の三吉とタヌキのハチ。

7FC1B1D0-A5BA-48B2-B55C-034DA954C048.jpeg
舞台ケコミは市松模様が付いて、ちょっと和の雰囲気。

36062D5D-2BB0-4CD7-B8F2-E80198F836AB.jpeg

プランが出たら、本格的な仕込みが始まります。