韓国 国際人形フェスティバルに行ってきました!その3

河合
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6月1日(日)、春川3日目は、
午前中に南春川駅まで帰りの特急券を買いに行ってから、徒歩でTheater Momzitまで。
大通りなのに車も人も少ないのは、日曜日だからかな?

ここでは韓国の劇団PIT-A-PAT-THEATERの「Joongseop:Paint dreams in color」を観劇しました。

日本統治時代と朝鮮戦争の中を生きた画家、イ・ジョンソプという人の絵画をテーマに作られたものでした。

この劇団は、普段から子ども向けの作品を作っているようで、
お客さんには子ども連れも多く、舞台後半で使われる色味も華やか、客席を楽しませる工夫もされていました。

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作品全体が画家の描いた絵をモチーフに小さなシーンをいくつも繋げて構成されていて、
前半はほとんど身体表現のみ、色味は少ないけれど家族で過ごす温かい時間の印象的なシーンが続いていきます。

戦争の悲惨さや暴力を直接表現するシーンはないのですが、演技や音、印象的なシーンでそれと気づかせるものがあります。

そして画家と人形(=画家の描いた子ども)が再会するかのように出会う瞬間。
このシーンは、人形の造形や動きの魅力も相俟って、ぐぐっと胸に迫るものがありました。

そこから続く、後半の色彩のある世界、魚や草花のオブジェクトの操演技術は本当に素晴らしかったです。
モノがシンプルだからこその操演、身体の美しさで、操演者がいることを忘れるような時間でした(不思議!とかではなく)。





実は、今回のフェスティバルでの前売りチケット購入の際、
・同行の子どもが入場できる公演
・子どもとの移動・食事などの時間に余裕を持って観られる公演
という点から予定を立ててチケットを購入したため、写真の印象のみでこの作品を選びました。
なので、私はこの作品の公演内容をよく読んでいなかったのです…

戦争という背景に気づいていなかった私は、作品の初めから何となく感じられる寂しさや愛おしさに違和感を感じつつ、後半には、明るい色彩の中でそれが膨らんでいくような気持ちで作品を観ていました。

終盤にエンドロールのような形で、スクリーンに画家の写真と描かれた絵や手紙が映し出されます。
エネルギッシュな牛、子どもの遊ぶ姿、ハングルの手紙、日本語の手紙、日本語の名前、、、
ここで私は「・・・んん?!」となるのです。

これはもしかして日本の加害の話…?占領下の・・・?
だったら本当に知ってから観なあかんやつやん!!と・・・。


うっかりです。

全然知らずに、韓国の日本統治時代(という言い方が良いのかもわからない)ということへの思いを何も持たずに、観に来てしまいました。
そしてエンドロールまで、そのことに気が付かずにいたのです。





観劇後、(終演間際に子どもが寝てしまったこともあり)ロビーで1時間ほど滞在させてもらいました。
ロビーに展示されていた画家イ・ジョンソプの画集と彼について書かれた本を少し(スマホに翻訳してもらって)読んでわかったのですが、
今回の作品は、私の想像したような加害のお話ではなかったようです。
(でもこの画家も戦争の被害者ではあるのだと思います。)

ホッとした反面、
本当に私は、日本と韓国や他の国との歴史、関係性、全然知らない。わかっていないんだと痛感しました。

韓国には特に、日本との戦争に関わる場所やお話が今でもたくさんあるはずでず。
知らないと簡単に通り過ぎてしまう、モニュメントや、大切な場所や、言葉。
「人形劇観に来ただけ」という個人的な振る舞いではなく、もっと敬意をもって来るべきだったなぁと反省しました。

そして作品の内容がわかった今、このような作品を子どもと一緒に観に来る、という韓国の(局所的かも知れませんが)舞台鑑賞に対する文化的な意識の高さのようなものも感じました。




ハラハラした気持ちを落ち着かせて、次の会場へと向かいます。

ながい!
その4につづく!